先日の7時30分からNHKのスペシャルドラマで
葛飾北斎の娘、栄というドラマをやっていた。
葛飾北斎の娘の栄の目から見た葛飾北斎を描いての
宮崎あおいの熱演だった。
栄はまだ、葛飾北斎の膝の上に抱かれている時に、
早くも筆を握っている様な生まれながらにして
絵師と言っても言いような女性だった。
一風変わった女性で20歳の時に嫁に出されたのだが、
普通の女性のすることを何もしない、しないで離縁された。
その第1は
『まず掃除をしない。』
第2は
『料理をしない。いつも買ってきた料理を毎食、
食卓に置くだけで食事の支度はこれで終わりである。』
第3は
『髪を日本髪に結はない。』
第4に
『化粧をしない。』
この4つの無いでも男としては我慢できない所だが、
町絵師である、夫の絵をなんて下手な絵なんだろうと
馬鹿にして笑ってしまったもんだから
これで縁も終わりとばかり離縁された。
まあ将来に葛飾応為として葛飾北斎に
『美人画では応為にはかなわねと言わしめた。』
天才女流浮世絵として後世の浮世絵研究家の
注目を集めているぐらいの天才だから
平凡な町絵師の絵なんか下手くそ過ぎて
可笑しくて仕方が無かったのだろう。
まあ仕方ない所だろう。
天才にとっては凡人の絵なんか評価する
価値もないものだからである。
これでは日本髪を結ったり、化粧もしている
暇などないだろう!!
この応為という画号が附いたエピソードがまた面白い!!
実家に出戻って、また葛飾北斎の下で
絵師修行を始めた時の事である。
絵の描き方が分からない時に
『おーい親父殿ここはどうゆう風に描けばいいんだい』
と葛飾北斎の手を止めて、いちいち教わった。
こんな事が毎日のように何度も続くと
北斎は怒ってしまって
『えーい、うるさいやいおまえの画号はおーいだ』と言い
応為という画号がついてしまった。
では何故この画号で浮世絵を出さないかと思う所だが
浮世絵の世界では葛飾北斎の名前が有名になりすぎて
葛飾北斎の名前じゃないと売れないから、
葛飾北斎の名前で出さなければならない!!
そのために後世の美術研究家がこれは北斎の絵じゃないから
他の人間が描いたものだと美術研究家が
研究しなければならないというややこしい事になる。
応為と言う画号が注目されるようになったのは
つい最近の研究の成果である。
いつも絵を描くことと父親の葛飾北斎の世話の世話で
手一杯で自分の事を構っている余裕がなかったのだろう。
ドラマで見たのだが浮世絵は分業体制になっている。
まず葛飾北斎が縁取りの絵を描いて弟子達が、
色塗りする事になっている。
それは今の漫画家によく似ている。
漫画家が絵を描いてその弟子がベタ塗りとか色々な工程で
作品を完成させるのとよく似ている。
その色を作るのが栄だったのだ。
(この一字でえいと読む江戸時代ではポピュラーな名前だ。)